日本で働き、帰国される皆さまへ

1.脱退一時金制度の概要

脱退一時金は、日本の年金(国民年金・厚生年金)に6ヶ月以上加入していた外国人が、年金を受け取る権利(原則10年の加入)を得る前に日本を出国した際、支払った保険料を「掛け捨て」にしないために一部を払い戻す制度です。

【受給の主な条件】

  • 日本国籍を持っていないこと。
  • 年金(国民年金または厚生年金)に6ヶ月以上加入していること。
  • 日本に住所がないこと(役所に転出届を出し、住民票を抜いていること)。
  • 年金(老齢年金や障害年金など)を受ける権利を一度も得たことがないこと。
  • 日本を出国してから2年以内に請求すること。

2.脱退一時金にかかる所得税の還付制度について

厚生年金(会社員など)に加入していた場合、脱退一時金が支払われる際に、その総額から20.42%の所得税が源泉徴収(天引き)されます。

この天引きされた税金は、日本を出国する前に「納税管理人」を定めて税務署へ届け出し、出国後に確定申告を行うことで、その大部分(あるいは全額)を還付金として取り戻すことが可能です。

※国民年金のみに加入していた場合は、税金は引かれないため、この還付手続きは不要です。


3.脱退一時金および所得税の還付額について

受け取れる金額は、加入していた期間や支払った保険料の額によって決まります。

  • 国民年金の場合: 最後に保険料を納めた年度の額と加入月数に応じて決まります。
  • 厚生年金の場合: 「平均標準報酬額(日本での平均月収+ボーナス)」に「支給率(加入期間に応じた係数)」を掛けて計算します。
  • 所得税の還付額: 厚生年金の場合、天引きされた約20%の所得税の多くが戻ってきます。

※法改正について

現在、支給対象となる期間の上限は5年(60ヶ月)ですが、2026年以降の法改正により、将来的に8年まで引き上げられる予定です。

【厚生年金脱退一時金の目安】

※平均標準報酬額を20万円とした場合のシミュレーション(単位:円)

被保険者であった期間支給額(総額)脱退一時金の額(受取額)所得税の還付額
6月以上12月未満100,00079,58020,420
12月以上18月未満220,000175,07644,924
18月以上24月未満320,000254,65665,344
24月以上30月未満440,000350,15289,848
30月以上36月未満540,000429,732110,268
36月以上42月未満660,000525,228134,772
42月以上48月未満760,000604,808155,192
48月以上54月未満880,000700,304179,696
54月以上60月未満980,000779,884200,116
60月以上1,100,000875,380224,620

※脱退一時金の詳細な支給額については厚生労働省のページをご確認ください。

厚生労働省:脱退一時金制度の案内


4.手続きの流れと期間

手続きは大きく分けて2つのステップがあります。

① 脱退一時金の請求

  1. 日本出国前に市区町村役場へ転出届を提出します(予定日の14日前から可能)。
  2. 日本出国後、当事務所から日本年金機構へ書類を郵送します。
  3. 審査には約3ヶ月〜6ヶ月かかり、その後指定の口座に送金されます。

② 所得税の還付請求

  1. 脱退一時金の入金後、代理人(当事務所)に「脱退一時金支給決定通知書」が届きます。
  2. 納税管理人(当事務所)が税務署で確定申告を行い、約2ヶ月〜3ヶ月で税金が払い戻されます。
  3. 手数料を差し引いたうえで、ご指定の口座に送金します。
  4. 納税管理人の解任手続きを行います。

5.必要情報の入力・申請

【必要情報】

  • 個人番号(マイナンバー)
  • 帰国日
  • 帰国後の住所
  • 会社名と勤務期間

【必要書類】

以下の書類をあらかじめスキャン、または鮮明な写真を撮ってください。

  1. パスポート
    • ① 氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ
    • ② 最後に出国した日のスタンプが確認できるページ(自動ゲート利用時も「出国スタンプ」を受けてください)
  2. 基礎年金番号がわかる書類(年金手帳のコピーや基礎年金番号通知書)
  3. 銀行口座の情報(銀行名、支店名、口座番号、口座名義人)

6.脱退一時金をもらうデメリット

脱退一時金を受け取ると、それまでの日本の年金加入期間はすべてリセットされ、ゼロになります。

将来再び日本で働く予定がある方や、母国と日本の年金を通算できる「社会保障協定」を結んでいる国の出身の方は、一時金をもらうよりも、将来年金として受け取る方が有利な場合があります。