2025年10月から経営管理ビザの取得・更新が大幅に厳格化!
日本で事業を経営する外国人にとって不可欠な在留資格である「経営・管理ビザ」(一般に「経営管理ビザ」または旧称「投資経営ビザ」と呼ばれることもあります)。このビザの取得および更新に関する要件が、2025年から大きく厳格化される見通しです。今回の変更は、日本での起業を目指す方々や、既にビザを保有している方々に多大な影響を与えることが予想されます。
目次
経営管理ビザ厳格化の背景と目的
入管庁は、これまで比較的緩やかだったとされる日本の経営管理ビザの要件を厳格化する方向で調整を進めています。この動きには複数の背景と目的があります。
- 制度の悪用防止と信頼性向上 近年、事業の実態がない「ペーパーカンパニー」を設立し、単に日本に滞在する目的でビザを悪用するケースが問題視されています。特に、日本に居住する意思がないにもかかわらず、在留目的でビザが悪用される事例が目立っています。具体的には、事業実態のない会社設立や、民泊事業と称しながら不動産を購入するだけで運営を管理会社に丸投げするといったケースが報道されています。このような不適切な利用が制度全体の信頼性を揺るがしているため、厳格化が図られています。
- 国際水準との比較 現行の経営管理ビザの資本金要件「500万円以上」は、諸外国と比較して「格安」と指摘されていました。例えば、韓国では同様のビザに3,000万ウォン(約3,000万円)以上、米国では10万〜20万ドル(約1,500万〜3,000万円)以上の投資が必要とされています。この国際的なスタンダードに合わせ、より質の高い、本気度の高い投資家や経営者を日本に呼び込む狙いがあります。
- 政治的背景 2024年〜2025年の選挙で外国人に厳しい国会議員が多く当選し、外国人に厳しい政党が人気になったことも、入管が厳格化の動きを速めている一因とされています。
厳格化の具体的な変更点と適用時期
厳格化の動きは、新規申請者だけでなく、既にビザを保有している方々の更新にも影響を及ぼします。
1. 新規取得要件の大幅な変更
主要な変更点として、以下の内容が報じられており、2025年10月中旬から運用開始が予定されています。年内の省令改正・施行を目指しています。
- 資本金要件の引き上げ 現行の「資本金または出資総額500万円以上」から、「3,000万円以上」に大幅に引き上げられます。これは、現在の要件の約6倍にあたります。
- 常勤職員の雇用義務化 現行では「資本金500万円以上」または「常勤職員2名以上」のいずれかを選択できましたが、改正後は「資本金3,000万円以上」に加えて「1名以上の常勤職員(日本人、特別永住者、永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の在留資格を持つ者)の雇用が必須となります。これは、単に経営活動を行うだけでなく、日本人の雇用創出や経済活動への貢献を求める意図があります。
- 経営者の経歴・学歴要件の新設 「3年以上の経営・管理経験」または「経営・管理に関する修士相当の学位」が求められるようになります。これは、申請者自身の経営能力や経験をより厳しく評価するものです。
2. 更新申請時の必要書類追加と審査厳格化
新規取得だけでなく、既存の経営管理ビザ保有者も影響を受けます。
- 「活動内容説明文書」の提出義務化 2025年7月から、経営管理ビザの更新申請時において、直近の在留期間における事業の経営または管理に関する活動内容を具体的に説明する文書(任意の様式)の提出が必須となりました。前回の申請時から変更がある場合は、その理由の説明も含まれる必要があります。この文書は、事業の実体性や継続性を文章で説明するための資料であり、「プチ事業計画書」のようなイメージです。
- 審査の厳格化 この書類の追加により、入管は申請者が実際にどのように事業に関与していたか、経営管理の在留資格に該当する活動をしていたか厳しく審査することが想定されます。帳簿類の実地調査や労働基準法への合致の確認なども行われ、不許可やビザ取り消しのケースが増加しています。
特に注意が必要なケース
以下のケースに該当する経営管理ビザ保有者や申請者は、特に注意が必要です。
- 年間売上高が500万円を下回るケース(特に300万円以下):経営活動の実態がないと判断される可能性があります。
- 前回の申請時と事業内容が異なるケース:例えば、貿易事業で申請したにもかかわらず、実際はコンサルティング事業の売上のみである場合などが該当します。
- 赤字決算の場合(特に債務超過):事業の継続性が疑われるため、公認会計士や中小企業診断士が評価した改善の見通しに関する書面が必須となります。
- 事業実態のないペーパーカンパニー:悪用・乱用事例として最も厳しく取り締まられます。
外国人起業家が今すぐ取るべき対策
経営管理ビザの厳格化は避けられない現実です。この変化の波を乗り越え、日本でのビジネスを成功させるためには、早期の準備と適切な対策が不可欠です。
1. 新規申請を検討している方へ
- 早期申請の検討:もし現行の500万円要件で準備が進んでいるのであれば、制度が変更される前に申請を済ませることも有効な選択肢です。
- 綿密な資金計画と出所証明:新しい資本金要件である3,000万円以上を準備できるか、その資金の出所(給与からの貯蓄、親からの借入など)を客観的な資料で完全に証明できるようにしておきましょう。
- 質の高い事業計画書の作成:市場調査、具体的な収益予測、マーケティング戦略、資金計画、人員計画など、第三者が見ても実現可能性と継続性があると納得できる詳細な事業計画書を作成することがこれまで以上に重要です。
- 独立した事業所の確保:バーチャルオフィスや住居と兼用の場合、独立性が保たれていることを示す賃貸契約書、写真、平面図などが必要です。
2. 既にビザを保有している方(更新を検討している方)へ
- 「活動内容説明文書」の準備:2025年7月10日以降に必須となるこの文書は、直近の売上・利益の状況、主要取引先・主要商品の説明、経営環境の分析、今後の見通しといった項目を具体的に記載する必要があります。日々の活動実績を記録し、説明責任を果たせる資料を整理する習慣をつけましょう。
- 事業実績の整理と説明責任:これまでの事業活動が当初の計画通りに進んでいるか、収益状況はどうなっているかを明確に説明できるように準備します。赤字経営であっても、その理由(先行投資など)と、今後の具体的な改善計画を合理的に示すことができれば、許可の可能性はあります。債務超過の場合、公認会計士または中小企業診断士による改善の見通し評価書面が必須です。
- 法令遵守の徹底:税金や社会保険料の未納がないか、従業員の適切な雇用管理など、日本の法律やルールをきちんと守っているか改めて確認しましょう。会社が社会保険の強制適用事業所であるため、役員一人だけの会社でも社会保険加入義務があります。
- 経営者としての活動記録の保管:単なる名目上の役員ではなく、事業の意思決定や業務執行に実質的に関与していることを示す証拠(議事録、取引記録など)を整理・保管しておきましょう。





