失業手当(基本手当)「給付日数増加」を謳う申請サポートに要注意!

社会保険労務士として活動している私も、士業仲間から「失業手当(基本手当)の給付日数を増やせる」といった内容のSNS広告やYoutube動画の真偽を問われ、なんとも言えない気持ちになったことがあります。

失業して経済的に困っている労働者を助けたいという気持ちは、「豊かな国民生活及び活力ある経済社会の実現に資する」ことだと思っています。しかし、一部の申請サポート業者による宣伝方法や実態には、大きな問題があります。

具体的には、

  1. 誰でも給付日数を増やせるように見せかける宣伝がされていること(「最大○○万円受け取れる」など、期待を持たせる広告)。
  2. 一部では、詐欺まがいの手法、すなわち不正受給を促すかのような誘導を推奨していること(例:「退職の理由はうつ病だということにしましょう」と助言されたり、メンタルの不調がないのに指定のクリニックで受診するよう指示されたりするケースが目立っています)。
  3. 広告や事前説明で聞いていたような金額の給付金はもらえなかったにもかかわらず、途中で解約を希望すると高額な違約金を請求されたり、事業者が解約を認めなかったりする事例があること。
  4. 「社会保険労務士が関与している」と言いつつ、実際に宣伝・サポートしているのが無資格者である場合があること。

これらの申請サポートに関する相談は、全国の消費生活センター等にも多く寄せられており、不正受給を促すようなサポート内容だったという報告もあります。

不正受給は「3倍返し」のリスクがあります

安易に不正受給を促すような助言には絶対に乗らないでください。

もし不正行為が行われた場合、その不正行為があった日以降の日について、失業等給付が一切支給されなくなります。さらに、不正に受給した失業等給付の相当額(不正受給金額)の返還が命じられるだけでなく、返還が命じられた不正受給金額とは別に、その額の2倍に相当する額以下の金額の納付(いわゆる「3倍返し」)が命じられることとなります。

悪質な業者に頼る必要はありません

悪質な業者に過剰な手数料を支払い、リスクを負う必要は全くありません。

失業手当(基本手当)の給付日数を増やす優遇措置の対象となるのは、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当する場合です。ご自身がこれらに該当するかどうかは、厚生労働省の定める基準を見れば明らかです。

ご自身が特定理由離職者や特定受給資格者にあたると思慮される場合は、必要資料を揃えてハローワークにお問い合わせください。失業保険のことは最寄りのハローワークにご相談いただくのが確実で安全な方法です。


主な特定受給資格者と特定理由離職者の範囲

ハローワークに相談する前の参考として、主な特定受給資格者と特定理由離職者の範囲をご紹介します。これらの条件に該当するかどうかは、提出資料に基づきハローワークが最終的に判断します。

[特定受給資格者] 主に、倒産・解雇など会社都合により離職した方が該当します。

  • ②労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
  • ⑦期間の定めのある労働契約の更新によリ3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
  • ⑨上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者
  • ⑩事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)

[特定理由離職者] 正当な理由のある自己都合により離職した方が該当します。

  • 1.期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
  • 2.以下の正当な理由のある自己都合により離職した者
    • ①体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
    • ②父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者

まとめ

失業保険に関する疑問や申請については、いつでもハローワークという公的機関が相談窓口となっていますので、そちらを頼ってください。

失業保険に関する正しい知識と手続きを通じて、皆様が安心して次のキャリアに進めるよう願っています。