「これって含まれないの?」最低賃金計算のキホンと、知っておくべき除外賃金

働く私たちにとって、お給料は生活を支える大切なものです。そのお給料が法律で定められた最低ラインを下回っていないか、気になったことはありませんか?国が定める「最低賃金制度」は、すべての労働者の生活を守るための大切なルールです。しかし、「私の給与は最低賃金をクリアしているの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。特に、さまざまな手当がつく給与明細を見ると、何が最低賃金の対象になるのか、何が対象外なのか、分からなくなりがちです。

この記事では、最低賃金の基本的な計算方法と、最低賃金の対象とならない賃金について、分かりやすく解説します。自分の給与が適正かどうかを確認できるよう、ぜひ参考にしてください。


1. 最低賃金とは?

「最低賃金」とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を、国が法律に基づいて定めたものです。これは、雇用形態(正社員、パート、アルバイト、派遣社員など)や年齢、性別に関わらず、すべての労働者に適用される非常に重要な制度です。

最低賃金には、主に以下の2種類があります:

  • 地域別最低賃金: 各都道府県ごとに定められる最低賃金で、その地域内のすべての労働者に適用されます。毎年見直され、金額は都市部で高く、地方で低い傾向があります。
  • 特定(産業別)最低賃金: 特定の産業について、地域別最低賃金よりも高い水準が必要と認められた場合に設定されます。ただし、特定(産業別)最低賃金が地域別最低賃金を下回る場合は、地域別最低賃金が適用されます。

もし、労働者と使用者が最低賃金額より低い賃金を合意していても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます

2. 最低賃金の計算方法

自分の給与が最低賃金額を上回っているかを確認するには、まず時間当たりの賃金額を算出し、適用される最低賃金額(時間額)と比較するのが基本です。給与形態ごとの計算方法を見ていきましょう。

  • 時間給の場合
    • 時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
    • 最もシンプルなケースで、時給が最低賃金額以上であれば問題ありません。
  • 日給の場合
    • 日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
    • 日給制の場合は、1日の所定労働時間で日給を割って時間額を算出します。
    • ただし、特定(産業別)最低賃金で日額が定められている場合は、日給を日額と比較します。
  • 月給の場合
    • 月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
    • 月給制の場合、月給から後述の「最低賃金の対象とならない賃金」を除外したものを、1か月平均所定労働時間で割って時間額を算出します。
    • 1か月平均所定労働時間は、(年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間) ÷ 12か月 で計算できます。
  • 出来高払制(歩合給)の場合
    • 出来高払制などによって計算された賃金の総額を、その賃金計算期間の総労働時間数で割って時間当たりの金額に換算し、最低賃金額と比較します。
    • 完全歩合制: 歩合給の支給額 ÷ 総労働時間(総労働時間には残業時間も含まれます)。
    • 固定給+歩合給制: (固定給 ÷ 所定労働時間)+(歩合給 ÷ 月間総労働時間)
  • 複数の支払い形態の組み合わせの場合
    • 基本給が日給制で各種手当が月給制など、複数の支払い形態がある場合は、それぞれを時間額に換算して合計し、最低賃金金額と比較します

3. 最低賃金の計算から除外される賃金

最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。そのため、実際に支払われた賃金から、以下の賃金は最低賃金の計算の際に除外しなければなりません

  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
    • これらの手当は、最低賃金の計算からは除外する必要があります。これは、人によって受給額に差が出やすく、これらの手当を含めると最低賃金をクリアしてしまうといった不公平を避けるためです。
    • 【特に注意】 特に、精皆勤手当は、割増賃金の計算では含めるべき賃金ですが、最低賃金の計算では除外しなければならない賃金です。この違いは非常に重要なので注意しましょう。
  • 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
    • いわゆる時間外手当や残業代、時間外割増賃金などが含まれます。所定労働時間を超えて働いた分の賃金です。
  • 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金
    • 休日手当や休日出勤手当、休日割増賃金などがこれにあたります。法定休日だけでなく、所定休日の労働に対する賃金も含まれます。
  • 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
    • 深夜割増賃金が該当します。通常賃金に上乗せされる割増部分のみが除外対象です。
  • 臨時に支払われる賃金
    • 結婚手当や見舞金など、労働とは関係ない個人的な事情により、ごく稀に支払われる賃金が該当します。
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
    • 賞与(ボーナス)などがこれにあたります。

4. 最低賃金計算の注意点

  • 固定残業代: 固定残業代は、最低賃金の計算には含まれません。基本給部分が最低賃金を上回っているかを確認することが重要です。
  • 端数処理: 計算結果に1円未満の端数が生じた場合は、四捨五入します。
  • 変形労働時間制: 変形労働時間制を採用している場合、変形期間における平均所定労働時間を用いて計算します。

まとめ

最低賃金制度は、すべての労働者が安定した生活を送るための大切な土台です。企業には最低賃金の遵守が義務付けられており、もし最低賃金を下回る賃金が支払われていれば、それは法律違反となります。