【要注意】日をまたぐ夜勤、新しい最低賃金はいつから適用?

毎年秋頃になると改定される「最低賃金」。

金額の引き上げに注目が集まりますが、深夜営業の店舗や介護・医療現場、工場など、「日をまたぐ夜勤(オーバーナイト勤務)」がある現場では、計算方法に少し注意が必要です。

「1勤務として続いているから、始業時の賃金でいいのでは?」

そう思って計算していると、実は最低賃金法違反になってしまう可能性があります。

今回は、意外と誤解されやすい「日をまたぐ勤務時の最低賃金の適用タイミング」について解説します。


発行日の「午前0時」から新しい金額になります

結論から申し上げますと、最低賃金の改定日(発行日)をまたいで勤務する場合、発行日の午前0時(暦日が変わった瞬間)から、新しい最低賃金額以上を支払う必要があります。

シフトの開始時間が前日であっても、日付が変わって改定日になった瞬間から、新しい単価を適用しなければなりません。

なぜ誤解が生まれるのか?「労基法」との違い

この計算がややこしいのは、「労働基準法」と「最低賃金法」で考え方が異なるためです。

1. 労働基準法(労基法)の考え方

労働基準法では、日をまたぐ勤務であっても「始業時刻の属する日の労働」として、「一勤務(一暦日)」として扱うのが原則です。

(例:9月30日の22時から翌10月1日の5時まで働いた場合、全て9月30日の労働として扱われることが多い)

2. 最低賃金法の考え方

一方で、最低賃金法にはこのような「継続勤務を一暦日とみなす」という規定がありません。

そのため、原則通り「暦日(カレンダー)」に従って適用されます。

【ポイント】

  • 労基法: シフトがつながっていれば、前の日の扱いになることがある。
  • 最低賃金法: カレンダー通り。0時を超えたら新しい金額。

具体的な計算例

わかりやすく事例で見てみましょう。

  • 現状の最低賃金: 1,000円
  • 新しい最低賃金: 1,050円
  • 発行日(適用開始日): 10月1日
  • 勤務シフト: 9月30日 22:00 ~ 10月1日 05:00(休憩なしの場合)

この場合、給与計算(時給のベース)は以下のように分ける必要があります。

時間帯日付適用される最低賃金計算
22:00 ~ 24:009月30日1,000円(旧単価)1,000円 × 2時間
00:00 ~ 05:0010月1日1,050円(新単価)1,050円 × 5時間

※別途、22:00~05:00の間は深夜割増賃金(25%)が必要です。深夜割増の計算基礎となる時給も、0時以降は新しい最低賃金(1,050円)をベースに計算してください。


担当者が確認すべきこと

最低賃金ギリギリの設定で時給を組んでいる場合、この「0時切り替え」を見落とすと、その時間帯だけ最低賃金を下回ってしまう(=違法状態)リスクがあります。

  1. 給与計算ソフトの設定確認多くのシステムは自動対応していますが、設定によっては「勤務開始日の時給」を最後まで適用してしまうケースがあります。システムが「日をまたいだ時点での単価変更」に対応しているか確認しましょう。
  2. 対象者の洗い出し最低賃金近辺で働いている「夜勤スタッフ」がいないか確認し、改定日をまたぐシフトに入っている場合は手計算での修正が必要か検討してください。

まとめ

たかが数時間、数円の話と思われるかもしれませんが、コンプライアンス上非常に重要なポイントです。改定時期が近づいたら、ぜひ一度自社の計算ルールをご確認ください。