会社が倒産・突然の解雇…未払賃金を取り戻す「立替払制度」
突然の解雇や会社の倒産により、給料が支払われないまま職場を離れることになった皆様。混乱と不安の中にいらっしゃることとお察しします。
そのような状況で、労働者とその家族の生活を守るための国のセーフティーネットとして「未払賃金立替払制度」があります。
目次
1. 未払賃金の立替払い制度とは
「未払賃金立替払制度」とは、会社が倒産したために賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、国(独立行政法人労働者健康安全機構:JOHAS)が事業主に代わって未払賃金の一部を支払う制度です。
この制度は、法律に基づいて運営されており、労働者とその家族の生活の安定を図ることを目的としています。JOHASが立替払を行った後は、その金額に相当する賃金請求権をJOHASが取得し、事業主に対して求償(返済の請求)を行います。
2. 立替払を受けるための3つの条件
この制度を利用するためには、以下の3つの主要な要件をすべて満たしている必要があります。
- 事業主の条件: 労災保険の適用事業で1年以上事業活動を行っていたこと。
- 倒産の状況: 以下のいずれかの状態であること。
- 法律上の倒産: 破産、特別清算、民事再生、会社更生の手続が開始されている。
- 事実上の倒産: 中小企業において、事業活動が停止し、再開の込みがなく、賃金支払能力がないと労働基準監督署長が認定したもの。
- 労働者の条件(退職時期): 倒産の手続開始の申立て(または認定申請)が行われた日の6か月前の日から2年間の間に退職した人であること。
※退職してから6か月以内に倒産の手続きや申請がなされない場合は対象外となります。
3. いくらもらえる?立替払の範囲と上限額
立替払の対象となるのは、全ての未払金ではありません。
- 対象となる賃金: 退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している「定期賃金(基本給や残業代)」と「退職手当」です。
- 対象外となるもの: 賞与(ボーナス)、解雇予告手当、賃金の延滞利息などは含まれません。

- 立替払の額: 未払賃金総額の8割です。

- 年齢別の限度額: 退職時の年齢に応じて、未払賃金総額に以下の限度額が設けられています。

- 最低金額: 未払賃金の総額が2万円未満の場合は対象外です。
4. 申請の進め方:倒産の種類によって異なる手続き
倒産の種類によって、必要な「証明」を受ける場所が異なります。

- 法律上の倒産の場合: 破産管財人等から「証明書」の交付を受け、JOHASに請求します。

- 事実上の倒産(中小企業)の場合: まず労働基準監督署長から倒産の「認定」を受け、次に未払賃金額の「確認」を受けた後、JOHASに請求します。

- 請求期限: 倒産の決定日または認定日の翌日から2年以内です。期限を過ぎると請求できなくなるため、注意が必要です。
5. 注意したいポイント:税金と提出書類
お金を受け取る際、手続きを間違うと手取り額が減ってしまう可能性があります。
- 税金の扱い: 立替払金は「定期賃金分」「退職手当分」のいずれも退職所得として課税されます。
- 「退職所得申告書」の記入: 請求書の下欄にある申告書に必ず記入してください。これがないと、20.42%が所得税として源泉徴収されてしまいます。
- 振込口座: 必ず本人名義の普通預金口座を指定してください。他人名義の口座には振り込めません。
6. 困った時の相談窓口
会社が倒産し、給料が支払われない事態に直面したら、一人で悩まずにできるだけ早く専門の窓口へ相談してください。
- 最寄りの労働基準監督署: 全国の所在地案内が厚生労働省のホームページに掲載されています。
- 労働者健康安全機構(JOHAS)未払賃金立替払相談コーナー:
- 電話:044-431-8663
- 受付時間:平日 9:15〜17:00(土・日・祝日を除く)。
よくある質問(Q&A)
Q1:会社が労災保険に未加入だったり、保険料を滞納していても立替払は受けられますか?
A1: はい、受けられます。加入手続きや保険料納付の有無に関わらず、労働者を使用する事業であれば制度の対象となります。
Q2:アルバイトやパート、外国人労働者も対象になりますか?
A2: はい、対象です。国籍や雇用形態を問わず、労働者として雇用され、賃金を得ていた人であれば制度を利用できます。ただし、代表権を持つ会社役員などは原則として対象外です。
Q3:会社が倒産する前に、自分から辞めてしまった(自己都合退職)場合はどうなりますか?
A3: 退職の理由に関わらず、倒産の手続開始などの6か月前から2年の間に退職していれば対象になります。
Q4:ボーナス(賞与)が未払いのままですが、これは立替払してもらえますか?
A4: 残念ながら、賞与は立替払の対象外です。対象となるのは毎月の定期賃金と退職金に限られます。
Q5:請求してから、実際に支払われるまでどのくらいかかりますか?
A5: 書類に不備がなければ、JOHASが請求書を受け付けてから30日以内に支払われるよう努められています。ただし、書類の追加や確認が必要な場合は、1か月半以上かかることもあります。





